今日もビショップ　078 CITE　COWICHAN KNIT CARDIGAN

ネイティブアメリカンの銀細工に刻まれたデザインにはそれぞれに意味がある。たとえば、サンバーストは陽の光をモチーフにしており、太陽を強い力と癒しの象徴としてきたナバホ族特有のもの。水の少ない土地に定住していたホピ族がよく用いてきたのは、水の流れをモチーフとしたウォーターランニングだ。ちなみ、“人生のサイクル”や“再生”の意が込められている。カウチンニットは、カナダのバンクーバー島に住んでいたカウチン族が狩猟のために使用していたニットが起源とされる。モチーフは部族に伝わるサンダーバードをはじめとする動物や、雪の結晶といった自然現象に由来するものが多い。ヴィンテージものは部族の信仰や文化が垣間見える貴重な資料となるわけだ。それを元にしているとあって、この一着もまた往年の風情をその身に宿す。英国羊毛をブレンドした無撚糸を使用。国内で丁寧にハンドニッティングしているため、ならではのスラブ感がまた独特な表情を生む。とはいえ、柄は日常に馴染みやすいようシンプル化。インナーに干渉しないよう裏地をつけ、大きめに作ることで今の空気にもマッチさせた。本物感と時代感を求める人にはまたとない一着なのである。