その道のプロである指南者とともに、
ビショップのスタッフが新しいコトに挑戦する
「日日新・にちにちあらた」。
気になる、やってみたい、
その一歩を踏み出すきっかけをお届けします。
今回の日日新は
vol.06
JAPANESE TEA日本茶
私たちにとって身近な飲み物である「日本茶」。
現在の煎茶の製法は、江戸時代からはじまり、約300年の歴史があります。それほど長い歴史があり馴染みがあるはずなのに、いざ自宅で淹れてみようと思うと、道具や茶葉の選び方など、意外と知らないことが多いのではないでしょうか。
今回は売茶中村の中村栄志さんに、お茶の基本的なお話や「煎茶」の美味しい淹れ方を教えていただきました。
INSTRUCTOR
売茶中村
中村 栄志さん
お茶の奥深さと面白さを知るため、鹿児島の茶農家にて製造栽培に従事。その経験を活かし、地元宇治にて出来立てのお茶が楽しめる「売茶中村」を開店。お茶づくりの泥臭さを知っているからこそのトークで、日々お茶の魅力を伝えています。
CHALLENGER
なんばパークス店 スタッフ
春名 総一郎
好きな飲み物はお茶と日本酒。普段から水出しのお茶を作って飲んでいます。自分で急須で淹れて飲むのは初めてで、本格的な淹れ方や、急須などの茶器にも興味があったので、今回の体験が楽しみです!
本社 スタッフ
小澤 柚花
普段は専らコーヒー派。甘いお菓子と一緒に、深煎りの濃い味を楽しむことが多いです。実家で家族と暮らしていた時は、朝や団らんの時間によく煎茶を淹れて飲んでいました。
# LESSON 01日本茶の基本
日常の中の新しい句読点
コーヒーが身近な存在である一方で、意外と飲む機会が少ない日本茶。朝起きた時や仕事中、家族や友人との団らんの時間に、ちょっとひと手間かけて、急須であたたかいお茶を淹れてみませんか。普段とはちょっと違った息抜きの時間は、新鮮さを感じられ、気分転換やリフレッシュに繋がります。日常の中の新しい句読点として、日々の暮らしが豊かなものになるかもしれません。
01お茶のある暮らしとは
煎茶ってどんなお茶なのか知っていますか
日本茶=緑茶と思っているひとは多いようですが、日本茶とは日本で作られているお茶のこと。煎茶や玉露、紅茶、烏龍茶、ほうじ茶など、元はすべて同じお茶の木から作られています。その中でも、茶葉を摘んですぐに蒸す・炒るなどの方法で加熱し、乾燥させたお茶を緑茶と呼びます。私たちが日常的によく飲んでいる煎茶や、高級茶として知られる玉露も緑茶のひとつ。煎茶は陽ざしを浴びて育った茶葉を蒸し、揉みながら乾燥させた茶葉を指します。茶葉の栽培方法や、摘んでからの工程によって、それぞれ違ったお茶の味わいになります。
02代表的な茶葉の種類
CHECK POINT
普段良く目にするお茶の違い
煎茶
新芽が出てから摘み取るまで、太陽の光を浴びさせて育てます。茶葉の中に含まれるテアニンという成分は、光合成によりカテキンに変化します。お茶の苦味・渋味は、このカテキンやタンニンという成分によるもの。ずっと日光が当たる分、3種類の中で最も苦味や渋味が強い茶葉です。
かぶせ茶
1週間から10日前後ほど、茶葉に覆いを被せ、日光を遮って栽培します。そうすることで、テアニン→カテキンの変化を抑制します。もともとテアニンは、甘味や旨味を強くするアミノ酸の一種。ほど良い渋味と優しい甘味を味わえる、バランスの良い茶葉です。
玉露
高級茶として知られる玉露は、20日以上、物によっては1ヶ月と、長い期間太陽の光を遮ります。そうすると、茶葉の中の葉緑素という成分が増加し、緑の濃い柔らかな茶葉になります。コクのあるまろやかな味わいと、海苔のような香りが特徴です。
ビビッときた
デザインを選んでみて
素材や形、大小さまざまな急須の種類。見た目で選んでしまって全然OK。自分の気に入った急須で淹れるお茶の時間は、きっと心が弾むはず。使っていない時も、インテリアとして部屋に飾っても良さそうです。でも少しだけこだわるなら、急須のことをちょっとでも知っておくと、より豊かな時間を過ごせるかもしれません。たとえば選ぶ急須の形によって、それぞれのお勧めの茶葉があります。平たいタイプは温度が冷めやすいので、じっくりと低い温度で楽しむ玉露などにおすすめです。
03急須を選ぶ
CHECK POINT
急須の種類はさまざま
素材
陶器、磁器、鉄瓶、樹脂、ガラスなど、さまざまな種類の素材があります。素材や凸凹具合によって、少しだけ味も変わってきます。また磁器など艶のある素材の急須は、残り香がつきにくく、汚れが簡単に落ちるので、お手入れが簡単です。
大きさ
ポピュラーなサイズは300ml~350mlほど。ひとりで使うにも大きすぎず、来客があっても充分なサイズです。また大きすぎてしまうと、茶葉が中で泳ぐ時間が長くなり、苦味が出やすくなります。熱い温度でたっぷりの量を楽しむほうじ茶や玄米茶には良さそうです。
茶こし
カゴ網のものもありますが、急須本体に穴が開いているタイプが、色々な茶葉に対応できるのでおすすめ。急須の中を大きく使えるため、茶葉が開きやすく、香り豊かに美味しく淹れることができます。
# LESSON 02美味しい淹れ方
まずは中村さんのお手本を
動画で見てみましょう。
01煎茶の淹れ方
CHECK POINT
手順ごとのポイント
01
お湯を冷ます
沸騰したお湯を湯呑に入れ、急須に移し、再度湯呑に戻します。茶葉にもよりますが、少しぬるいお湯の方が美味しく飲めます。煎茶はだいたい80℃ほど。湯量はお好みで。
02
茶葉を入れる
茶葉のかたちを崩さないよう、そっと急須に入れます。茶葉の目安の量はおおよそ5g。ティースプーン山盛り一杯ほどです。家にあるティースプーンが、大体何gか覚えておくと良さそうです。
03
お湯を入れる
湯呑に入っているお湯を、急須に注ぎ入れます。茶葉全体にかけるイメージで。
04
蒸らす
蓋をして、1分~1分半程待ちます。アツアツのお湯を淹れるとどんどん渋味が出てしまいますが、湯冷ましをしているので、1分以上置いても渋くなることはありません。
05
注ぐ
ポイントは交互に淹れること。細かく淹れることでお茶の濃淡が均等になります。また茶葉を泳がすことで、急須の中の茶葉がより開き、味が出やすくなります。最後の一滴までしっかりと。
06
急須の蓋を開ける
余分な蒸気が外に逃げるよう、蓋を少しずらしておきます。蒸気を逃がすことで、飲んでいる間に茶葉が蒸れるのを防ぎ、次のお茶も美味しく飲めます。
目安はあるけれど、
自由に淹れて楽しむべし!
同じ茶葉でも、味を大きく左右するのはお湯の温度。優しく甘い味わいが好きな方はぬるめの温度で、苦味や渋味が好みの方は熱めの温度で淹れてみてください。ただ、もちろん目安はありますが、ルールに縛られ過ぎず、自由に淹れて楽しめるのがお茶の良いところ。茶葉の分量やお湯の温度など、いろいろ試して自分好みを見つけてみてください。また味だけでなく、香りもお茶を楽しむポイント。茶葉を蒸らした後に急須の蓋を開けてみると、まるでアロマのような香りが広がります。
02お茶を愉しむ極意
三煎めまで楽しむべし!
一般的には茶葉が開ききっていない一煎めのお茶よりも、二煎めのお茶の方が濃くなるとされています。美味しく飲めるのは三煎めまでなどと言われていますが、四煎、五煎めまで楽しむ人もいます。ひとつだけ守ってほしい事は、一煎ごとにきちんと湯呑にお茶を出し切ること。茶葉がお湯に浸かったままで時間が経つと、どんどん雑味が出てきて、渋味が強くなります。
CHECK POINT
茶葉の開き具合
細長く、針のようなかたちをしている茶葉。一枚の葉っぱが、揉む工程で折り込まれていき、そのようなかたちになります。お湯に浸すとゆっくりとほどけ、いずれ葉っぱのかたちに戻ります。ぬるめよりも熱いお湯の方が、茶葉は開きやすくなります。一煎め、二煎め、三煎めでは、茶葉の開き具合も変わってきます。
一煎め
まだそれほど茶葉は開いておらず、細長いかたちをしています。まだまだ淹れられます。
二煎め
一煎めよりも茶葉が開き、味が出やすい状態。薄すぎず、濃すぎもしない、ちょうど良い開き具合です。
三煎め
本来の葉っぱのかたちに近い開き具合。味もほとんど出し切った状態です。
# LESSON 03飲み比べてみる
色々なお茶を飲み比べ
陽ざしを浴びさせ続けて栽培した煎茶と、覆いを被せて栽培したかぶせ茶、玉露。同じ緑茶でもそれぞれ違った栽培方法の3種類を飲み比べてみます。
煎茶
日本で最も良く飲まれており、馴染み深い煎茶は、芳醇な香りを楽しめます。さっぱりとキレのある飲み口で、苦味や渋味が強いのが特徴。熱めのお湯&たっぷりの量で楽しむのがおすすめです。クセのない味わいは、食事との相性も良さそうです。
バランスの取れたおいしさ。苦味、甘味、香りどれもスッキリと飲みやすくクセのない味わいでした。
3種類の中で一番飲み慣れた味。苦味や渋味が強めなので、お茶請けと一緒に楽しみたいです。
かぶせ茶
煎茶に比べて渋味が抑えられ、優しい甘味を感じられるかぶせ茶。のど越しが良く、ごくごくと飲みやすいのが魅力です。渋味と甘味のバランスの取れた味わいと、安価で高品質のお茶が飲めるという点で、煎茶と玉露の良いとこ取り、と言われてます。
苦味の後に鼻から抜けるお茶の香りが爽やか!朝の一杯目や集中したい時の一杯に良さそう。
ほど良い渋味と甘味のどちらも感じられて、3種類の中では一番飲みやすく、ゴクゴクいけました。
玉露
高級茶として知られる玉露は、淹れた時の透き通った艶のあるお茶の色と、まるで海苔のような覆い香が特徴です。渋味や苦味はほぼなく、旨味と甘味の強い、まるでスープのようなコクのある味わいが口の中に広がります。多めの茶葉を、少なめ&ぬるめのお湯で淹れて、エスプレッソのように少量で楽しむのがおすすめ。なんとコーヒーの約3倍のカフェインが含まれています。
旨味の塊!まるで出汁を飲んでいるかのようなコク。今まで飲んだことがなかったので一番衝撃的でした。
苦味や渋味はまったく感じず、煎茶やかぶせ茶とは別物!とても濃い味なので、ゆっくりできる休日の朝や、お茶の時間に少しずつ楽しみたいです。
服や音楽を選ぶように、
お茶を選んでもらえたら
知れば知るほど奥の深い、日本茶の世界。まずは難しく考えず、一度お茶を淹れてみてください。気になる茶葉や、お気に入りの急須で淹れたお茶でひと息つく時間は、きっと心穏やかなものになるはず。毎朝飲んでいる一杯のコーヒーを、たまにお茶に変えてみたり、日常の中によりお茶を飲む機会を増やしてみると、新しい一日の過ごし方が見えてくるかもしれません。
# RECOMMENDおすすめアイテム
湯呑(出西窯)
小ぶりで、コロンとした可愛らしいサイズの湯呑。吸い込まれるような色味の出西ブルーが魅力です。
V60 ドリップスケール(HARIO)
重さと時間を同時に計測できるスケール。茶葉の量や蒸らし時間をはかる際に。
湯冷まし(磯部商店)
丸いフォルムが愛らしい湯冷まし。湯呑でお湯を冷ますのも良いですが、よりこだわってお茶を淹れたい方に。
TEA STRAINER
(LABOUR AND WAIT)
イギリスのプロダクトデザイナーによるシンプルな茶漉し。マグカップにそのまま載せて使用できます。
LEAVES TO TEA
(KINTO)
シンプルなデザインのステンレス製キャニスター。遮光性があり、内蓋と外蓋の二重構造で密閉性が高く、茶葉の保管に適しています。
ティードリッパー ラルゴ35(上)
V60ドリップステーション(下)
(HARIO)
ティー専用ドリッパーとドリップスタンド。お茶を抽出してから、スイッチを押して一気にサーバーへ注ぎ込みます。お茶の色味も楽しめる耐熱ガラス製。日本茶をモダンに楽しみたい方に。
# AFTER体験を終えて
なんばパークス店 スタッフ春名 総一郎
お茶の淹れ方や種類、歴史を教わるなかで、味の違いだけでなく、人や場面によって合うお茶が変わることに驚きました。また玉露を飲んだ時の驚きは忘れられません!いつか友人や家族との楽しい時間の過ごし方の一つとして、日本茶会をやってみようと思います!
本社 スタッフ小澤 柚花
栽培方法によってここまで味が違うのかと驚きでした。またどこかホッと和らいでしまう、コーヒーとはまた別のリラックス効果を実感しました。これからは茶葉に合わせたお茶請けを選んでみたり、急須などの茶器を揃えてみたり、嗜好品のひとつとして楽しみたいです。
Q&A
SPECIAL THANKS