今日もビショップ　Setinn　CEREMONY KNIT

チルデンセーターは、1920年代に活躍した名テニスプレーヤー、ビル・チルデンが着用したことからその名が付いたとされる。それと並行して注目したいのが文化としての側面だ。1981年公開の映画『炎のランナー』はよく英国ファッションの教科書として語られることが多い。アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞するほどにこだわり抜いたがゆえの評価で、ゆえに登場する着こなしは往時の空気を知るにはいい資料となる。ビル・チルデンとほぼ同時期に活躍したユダヤ系イギリス人の陸上選手が、五輪で金メダルを獲得するまでの軌跡を描いた青春群像劇。そのカレッジ時代のシーンではチルデンセーターが頻繁に登場する。いわば、英国カレッジではよく知られた大定番。そんな背景を想像しながらこのアイテムに袖を通すと、嬉しい違和感に出会える。総裏のメッシュ仕立てで、ポリエステル素材によりすこぶる軽やか。街着のみならず、アクティブシーンでも通用する機能性を備えているのだ。しかも、サイドにはコンシールジッパー付きのポケットまで完備。見た目はクラシカルながら利便性にも長けた一着は、日常の装いにおける妙手となるだけでなく快適に過ごすための一助にもなるのだ。