今日もビショップ　SARTO　PANTS TYPE 003

昨今、雪の減少などで苦しんでいたスキー場をグリーンシーズン（春・夏・秋）も有効活用し、地域の活性化へつなげた例は思いのほか多い。ただそのようなアプローチは今に始まったことではない。1930年代のアメリカ。株価の大暴落から始まった世界的不景気は、あらゆる産業に暗い影を落とした。牛肉が売れず困り果てた西部の牧場主たちは、苦肉の策としてその牧場を解放。デュードランチ（観光牧場）として打ち出すことに。かくして、西部劇映画の大ヒットも奏功し牧場は多くの人々で賑わうこととなった。その流れを見逃さなかったのがデニムメーカー各社。劇中に登場する名優たちのウエスタンスタイルと重ね、牧場で過ごす際のウェアとしてアピールしたのだ。本作からはそんな当時の空気がほんのり漂う。ヴィンテージのウエスタンパンツから着想を得たというサイドパネル刺繍は、アクセントとして実にいい塩梅。とはいえ、モダンに解釈して仕上げただけに懐かしさより新鮮さが勝つ。軽快なフィット感は夏にもうってつけで、柔らかさは着心地だけでなく品を匂わすドレープ感も生んでいる。きっと行動のムシを触発し、休日の着こなしにいい刺激を届けてくれるに違いない。