今日もビショップ　orSlow　RELAX FIT OXFORD COVERALL

昨今、古着シーンではアメリカンワークウェアの雄が存在感を増しているとか。ワークウェアから着想を得たという2025年春夏のディオールのコレクションもまだ記憶に新しい。ただ、ワークウェアの偉大さは時代をさかのぼってこそ見えてくる。1990年代には西海岸のラッパーやギャングスタたちから親しまれ、’80年代にはスケーターたちがこぞってワークパンツを穿いた。’70年代初頭にはヒッピーたちの愛用品となり、1950〜’60年代は自由な生き方と本質的な人間らしさを追い求めたビートニクたちの必需品だった。単に丈夫で動きやすいだけでなく立場や思想を越え愛されたという事実は、ワークウェアの魅力を語るうえで十分な説得力をもつ。〈orSlow〉のこちらもまた同様で、ファッションの流れに惑わされずベーシックウェアを丁寧に作り続けてきたブランドの面目躍如といったところ。フィットのゆとりは動きやすさに加え、インナーの選択肢を広げるおおらかさもある。さらに洗いをかけたことで、長く着ていたかのような風合いも加えた。ボタンフライやコーデュロイ襟といった意匠も男を上げる一助となるだろう。たとえ時代が変わろうと、その普遍的な姿にこのうえない安心を覚えるに違いない。