今日もビショップ　ORCIVAL　BOAT NECK WIDE PULLOVER

貝殻の渦巻き、蜂の巣の形状、シダの葉…。普段何気なく目にする自然のあらゆる事象の中には、時おりユニークな美に出くわすことがある。何がユニークたらしめるかというと、その美しさの根源を紐解いていけばとある数学的な法則や秩序に行き着くからだ。抽象的ともとれる“美”だが、その本質を数学的見地に基づき具体化された事例はなかなかにして興味深い。翻って〈ORCIVAL〉のこちらのバスクシャツ。見たところ趣は長らくフレンチカジュアルの定番として君臨してきた往年のそれだが、いざ着てみるとモダンで品がある。それもそのはず。いつもと異なり、腕を下ろした際の肩ラインが美しく見えるよう肩傾斜を強くつけている。その様はまるでジャケットのごとし。ネックは折り返しを深めに設定し縫製部分が表に出にくい仕様にし、前下がりを浅く、天巾を狭くすることで上品さを演出している。さらには、裾にかけ適度に絞りを入れ裾のバタつきを回避しすっきりとしたシルエットに仕上げているのだ。ボーダーの幅も細目に変更しているためどこか落ち着いた印象に映る。美しく見える理論がそこかしこに落とし込まれ、大人のエレガンスをさりげなく語ってくれるのだ。