今日もビショップ　KIJIMA TAKAYUKI　INSIDE OUT JET CAP

新たなイノベーションは固定観念からの脱却や発想の転換がカギを握る。たとえば、1990年代にメゾンマルタンマルジェラが発表したコレクション。衣服の裏面をあえて表にする、いわばインサイドアウトなる手法を用いたアイテムたちは、ライダースやデニムジャケットといった定番のアイテムでもそこに強烈な違和感を漂わせ見る者を魅了した。師匠にあたるジャン・ポール・ゴルチエから影響を受けたとされる“崩し”の手法。まさに、“古い価値を壊し新しい価値を創造する”デザイナーの意志が透けて見える。〈KIJIMA TAKAYUKI〉のこちらもまた同様の空気を感じさせるのではないだろうか。アウトドアスポーツが起源とされ、スケーター文化との交わりにより浸透するに至ったジェットキャップ。その姿を見てみると、ステッチ部分やツバの縁などに生地を断ち切った跡のようなデザインが顔を出し、デザイン的なポイントになっている。しかも、強撚糸をウール織機で仕上げるという斬新なアプローチで織り上げたコットンコンパクトダブルクロスを採用。サラッとしたタッチとナチュラルなストレッチ性が被り心地を担保する。その違和感は、着こなしにいい刺激を届けてくれるに違いない。