今日もビショップ　K.JACQUES　STRAP SANDALS

後世へ継承すべき技術や文化への想いに国境はない。それは1972年にユネスコ総会で採択された世界遺産条約からより伝わってくる。さらに、無形文化遺産の保護に関する条約が2003年に同じくユネスコ総会にて採択され2006年に発行。日本では能楽や歌舞伎、アイヌの古式舞踊など22件が登録されている。時を同じくしてフランスで導入されたのがEPV（無形文化財企業）ラペルだ。これは、経済・財務大臣から授与される公的ラベルで、優れた産業的、職人的ノウハウと高い製品品質維持に努力した一流メーカーに与えられるもの。1933年設立の〈K.JACQUES〉はそのひとつにあたる。創業者夫婦のルーツであるアルメニアの伝統的なアートや工芸を背景に、そこへモダンな要素を取り入れたスタイルは今なお健在で、3代目がブランドの一員に加わり歴史を紡ごうとしている。その良さを知るのに本作は好都合かもしれない。手間暇かけた一糸乱れるハンドステッチ、時代を超越したデザイン、旅先にもちょうどいい軽快にして快適なフラットソール、そして長きにわたり愛せる丈夫さは真骨頂。上質でしなやかなレザーに現れる経年変化にきっと愛着がわく。その魅力を、次なる世代にもぜひ味わってほしいと思うのだ。