今日もビショップ　BOWTE　FLANNEL DOUBLE BREASTED COAT（EXCLUSIVE）

本格テーラーのような一面を見せつつ気軽に袖を通せる一着
 

英国はスーツ発祥の地とも言われるが、そのスーツの起源は16世紀に英国軍人たちが着用していたダブルブレストが特徴のフロックコートという説がある（当時、軍の指揮系統を担っていたのは大半が貴族）。ただそのフロックコート、実は下層階級の農民たちが仕事で着ていたコートがルーツという話も。高尚な一着のように考えがちだが、意外とそこまで気を張って着る物でもなかったのかもしれない。真偽のほどは定かではないが、〈BOWTE〉にメンズサイズで別注をかけた本作がイメージとしてはもっとも腑に落ちるような気がする。数多のブランドで本格的な洋服作りを学んできたデザイナーだけに、英国スーツのごとき構築的で美しい仕立ては本格テーラーを彷彿とさせる。素材には英国調の高密度に織ったカレッジフラノが使われ、佇まいは実にエレガンス。とはいえ、そこに特有の堅苦しさはなくむしろ軽やかな着心地で構えることなくサラッと羽織れるのだ。それはおそらくゆとりのあるサイズ感と落ち気味のショルダーラインも影響しているのだろう。そのバランス感たるや実にお見事。敷居を下げつつも袖を通せばシャンとする一着は、あらゆる大人の味方になりうるポテンシャルを秘める。