リトグラフ作品に手彩色を施したもの。
タイトルは「足音は聞こえてこない」。
潜在意識と怪物たちの肖像
「頭の中のイメージを可視化すること」。それが私の制作の原点であり、アイデンティティです。美術大学に在学中、周囲の圧倒的なデッサン力を目の当たりにして、「私にしか描けないものは何か」を考え続けた末、頭の中に浮かぶ景色や感覚を作品にすることへたどり着きました。作品のテーマは「潜在意識の観察」。現実に起きた出来事や曖昧な記憶、ふと感じた違和感など、普段は見過ごしてしまう感覚を掘り起こしていく過程で、頭の中に怪物が浮かんできます。この怪物たちは、幼い頃に読んでいた怪物図鑑から受けたイメージに影響されています。現実には存在しない怪物ですが、私にとってはいつもそばにいる仲間のような存在です。その姿を細部まで想像して描くことで、言葉にならない小さな感情の揺れを表現しています。
リトグラフの刷り工程。
革ローラーを使って版にインクを載せ、
その上に紙を置いてプレスします。
その表現手段として、石版に描画し印刷する「リトグラフ」という技法で作品にしています。石版に描いた絵は刷り終えると版を研磨するため、時間をかけて描いた原画は消え、反転した版画だけが残ります。この「描いたものが失われ、作品だけが残る」という儚さと、描画から刷りまでのすべての工程が、最終的に反転された一枚に刻まれるところに、リトグラフならではの魅力を感じています。その一枚を見るたびに「平面って、二次元ではないよな」と熱くなります(笑)。
初めて作ったZINE「STRANGE CREATURES」。
〈RISO〉のリソグラフで印刷しました。