人と関づか
革新しながら、永くあり続ける—。
酒井 英彰 HIDEAKI SAKAI
酒井商店 店主
革新しながら、永くあり続ける─。
酒井 英彰
HIDEAKI SAKAI
酒井商店 店主
開店後5年で約80%が廃業─。
そう言われるほど難しい
飲食店経営を手がける、
酒井商会の店主、酒井英彰さん。
流行り廃りの流れに乗らずに
我が道を行かんとする酒井さんが
仕事の足元に選んだのは、
関づかの履物でした。
果たして何に共鳴したのか。
酒井さんが飲食店を営むうえで
大切にしている哲学や
その根底にある考え方を
ひも解きながらうかがいました。
自らの目で見た確かなもの
恵比寿にほど近い渋谷の外れ。注意していないと見逃してしまいそうな建物の細い階段をのぼっていくと、知る人ぞ知る和食の居酒屋「酒井商会」があります。
扉を引くと目に飛び込んできたのは、仕入れた食材がところ狭しと並ぶカウンター。心地よい包丁の音とともに、店主の酒井英彰さんらスタッフたちは開店に向けて準備をしています。
「食材は私の出身地の福岡を中心に全国の産地から直送してもらうので、市場にはほとんど行かないです。あとはファーマーズマーケットに行って、農家さんや八百屋さんと直接話をして仕入れるようにしているので、市場に出回る周期とは違った旬のものが多いかもしれませんね」と酒井さん。
届けられる食材やお酒のほとんどが、酒井さん自身が現地まで足を運び、生産の背景や生産者の人柄にまで共感した思い入れのあるものばかり。
そのこだわりは、食材やお酒だけでなく、料理を供する食器にまで及びます。お店で使うがゆえに、何かの拍子に割れてしまっても、スタッフが丁寧に金継ぎをしながら使い続けています。
お店の価値は一瞬に表れる
そこにはひとつの哲学がありました。
「自分が使う包丁などの道具は毎日使って手に馴染むかどうかといった機能面で選ぶことが多いですが、ことお客さまの手や身体に触れるもの、目に入るものは、確かなものでなければなりません」
その考えに至った背景には、修業先のオーナーの影響も大きいそうです。
酒井商会のユニフォームは黒いカットソー。ゆえに白衣を着た、いわゆる和食の堅苦しさを感じさせません。それでいて確かなクオリティの品々が目の前に並ぶ。これも、酒井さんなりの“一瞬”の演出なのです。一方で、足元には雪駄と足袋を選んでいます。
「見ていないようで、お客さまは実によく見ています。一瞬の所作とか、ある瞬間に見えるものがちゃんとしているかどうかが、お店の価値に繋がります。本当に食が好きな方は、プロダクトにも興味がありますから」
お客さまを確かな足元で
お迎えする
お店や厨房で歩き回ることを考えたら、スニーカーみたいな靴のほうが楽かもしれません。それでも関づかの履物と足袋を選ぶのは、和食の世界で修業をしてきた酒井さんの料理人としての矜持なのかもしれません。
「和食にとって雪駄と足袋は正装です。お客さまをきちんとした出立ちでお迎えするための礼儀でもあります。関づかの履物は、お客さまの前に出ても恥ずかしくない、クオリティと品があるからです」
知人を介して関づかの履物を知った酒井さんは、食材を仕入れるときと同じように、京都の「履物関づか・岩倉AA」にまで足を運び、つくり手である関塚真司さんと会話を交わしました。
「関塚さんとお話しして考えがフィットし、ずっと使い続けたいと感じました。それは、酒井商会が掲げるミッション『革新しながら永くあり続ける』と共鳴するからかもしれません」
酒井商会 http://sakai-shokai.jp
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