MORIKAGE SHIRT KYOTO | For Bshop
MORIKAGE SHIRT KYOTO
For Bshop
open collar shirt
毎日着たくなるユニフォームのようなシャツ。
京都の街角で生まれた「モリカゲシャツ」は特別な日を飾る衣服ではなく、
生活に寄り添う日常着としてのシャツを作り続けてきた。
1997年の創業からおよそ30年。
今秋、デザイナー・森蔭大介さんの仕立ての思想と「ビショップ」の美意識が響き合い、
はっ水ナイロンの別注シャツが完成した。
毎日袖を通したくなる一着が誕生した背景を探る。

MORIKAGE SHIRT KYOTO 代表
1997年、京都にて「モリカゲシャツ」を創業。オーダーメイドシャツから始まり、シャツを中心としたものづくりを続けている。
デザイナー・森蔭大介さんのものづくりの原点は、幼少期からの“構造への興味”にある。母親から足踏みミシンの使い方を、グラフィックデザイナーの父親からデザインを教わりながら、洋服を分解しては独学でパターンを起こすような少年だったという。高校生の頃、その興味はシャツに向かっていった。制服のカッターシャツに始まり、世界最古の紳士服ブランドといわれる〈ブルックス・ブラザーズ〉のシャツも研究し、機能美の塊のような服に魅せられていく。
東京の文化服装学院を卒業後、就職したアパレル業界は大量生産、大量消費の波の中にあったが、森蔭さんが惹かれたのは誰かのための一着を作るオーダーメイド。数年後には故郷の京都へ戻り、オーダーメイドの工房兼店舗を開いた。やがてその仕立ての思想はシャツに特化したブランド「モリカゲシャツ」の設立に至り、オーダーメイドだけではなく既製服のラインにも昇華されていく。
鴨川にほど近い京都市上京区にある「モリカゲシャツキョウト」。
既製品の購入やオーダーメイドの相談ができる。
ブランド創業時、ビジネスウェアといえば堅苦しくネクタイを締めるのが当然の時代。森蔭さんが提案したのは、ネクタイをしなくても仕事場で品良く着られるカジュアルシャツだった。時代のニーズにはまり、その後は東京や鎌倉でのポップアップ、グルーヴィジョンズなど他社との協業にも取り組んでいくことになる。
森蔭さんはブランドの歩みを遡りながら「昔は自分たちのシャツを“道具のような服”と表現していたこともありましたが、この頃は“毎日のユニフォーム”であってほしいなと思います。着る人が気持ちよく出かけられる、リラックスして過ごせる。そんな日常を支える存在であれたらうれしいです」と話す。
「モリカゲシャツ」のラインナップのなかでも異彩を放つのが、2007年にスタートした「ウラモリカゲシャツ」というラインだ。通常のシャツの仕立てが、芯地(ハリやコシを出す裏方生地)を重ね、縫い代を隠し、緻密に手を加えて綺麗に仕上げていく作業ならば、「ウラモリカゲシャツ」はその逆を行く“引き算の思考実験”。前立てや裾は折り返さず、生地の端まで使いきる。前立てはテープを入れて補強するが、裾はロックミシンをかけるだけで芯地を使わない。縫製工程と用尺(生地の使用量)を極力抑えることで軽量化を実現し、雑貨のような存在感が生まれた。
構造の上にデザインを足していくのではなく、最小限の用尺と工程で作るという制約の中で何ができるかを探る。それが「ウラモリカゲシャツ」の試みだ。服づくりのルールを解体し、新しいプロダクトを発明するこの実験的なシリーズこそが「ビショップ」との特別なコラボレーションを生み出す大きなきっかけとなった。
別注アイテムの打ち合わせの場に何十着ものサンプルが並ぶなか、「ビショップ」スタッフの視線を奪ったのは、森蔭さんが羽織っていたナイロン製の「ウラモリカゲシャツ」だった。ワークウェアのようであり、アウトドアウェアのようでもあり、根底には確かなシャツの骨組みが隠されている。担当スタッフは、衣服として分類できないルーツの曖昧さに惹かれたという。
「たまたま着ていたシャツが今回のベースとして選ばれて、驚きました。その後はビショップの店頭を視察して感じた、空間全体から感じる洗練された佇まいを意識してデザインの調整に入りました。ワークシャツらしい正方形に近いシルエット。オープンカラーの上品な襟元。前立ての横幅は40ミリメートルで、ボタンを留めたときに重なる生地の幅よりも広めに。一見シンプルだけど、シンプルではない部分も意識しました」と森蔭さんは制作を振り返る。
「ウラモリカゲシャツ」のシャツをベースに一からデザインしたビショップ別注シャツ。
薄手ながら丈夫なナイロンタフタという軽量な生地にナチュラルなシワ加工とはっ水加工を施していて、クシャッと丸めて持ち運べる。シャツやカットソーの上に羽織るライトアウターとして、ダウンジャケットやベストのインナーとして、季節を問わず活躍してくれるに違いない。
「モリカゲシャツ」の服づくりには、新しいものを生み出すだけではない循環の思想が息づいている。近年では、長年愛用された自社製品を回収してリセールする「iTTEKOI」という活動も行われている。仕立てのいい服は時間を経ても、着る人を変えながら次の日常へと巡っていく。ブランドの立ち上げからおよそ30年。
服づくりと向き合う現在の境地について森蔭さんに尋ねてみると「長く続けてきたおかげで、ものを作る技術はしっかり身につきました。だからこそ今、作ることを純粋に楽しむ原点に戻りたいな、と。客観的な姿勢を大事にしていた時期もありますが、30年で人生ひとまわりしたと考えたら、自分やスタッフが面白いと思える仕事を増やしていく、というのが自然な気がします。いいものを作る原動力にもなりますからね。今回の制作はまさにそんなタイミングでのお声がけで、とても楽しかったんです」と無邪気な笑顔で語ってくれた。「モリカゲシャツ」と「ビショップ」の対話から生まれた別注シャツはメンズ、レディースともに7色展開。気軽に羽織って、あるいはカバンに丸めて、いつもの街へ。着るほどに愛着が深まる“新しい定番”は、日々の生活に気負わない快適さと、ささやかな胸の高鳴りを届けてくれるはずだ。
身幅にゆとりを持たせた、ボックスシルエット。生地にはナイロンタスランタフタを採用。糸に空気を吹き込むタスラン加工を施すことで、ナイロン特有の光沢を抑え、コットンのようなマットでナチュラルな風合いに。撥水性と防風性を備えながら、肌離れの良いドライな手触り。
(01)襟はオープンカラーを採用。オープンカラーならではのリラックスした雰囲気は残しながら、品のある印象に仕上げるため、襟は小さめに設定。
(02)前立てを広く取ることでアンバランスながらデザインのアクセントに。生地と同色のボタンを合わせることで、主張を抑えた品のある佇まいに。
(03)生地の用尺を最小限に抑えるため、裾は折り返さず、ロックミシンでの仕上げ。その仕様自体がデザインのアクセントになるとともに、縫い代が少なくなることで、軽量化にも。
(04)胸ポケットのカンヌキ止めに、あえて白糸を使うことで、さりげないアクセントに。