LA FETICHE

INTERVIEW

2017年、エイプリル・クライトンと
オレリ・フォレスティエによって創設された〈LA FETICHE〉。
彼女たちはそれぞれイギリスとフランスのバックグラウンドを持ち、
二つのスタイルが融合することで〈LA FETICHE〉独自のスピリットが生まれました。

今回はそんなデザイナーの人柄や二人が大切にしている地元ファクトリーとの関係、タイムレスかつクラシックなコレクションについてお話を伺いました。

左:オレリ・フォレスティエ 右:エイプリル・クライトン

01Designer Profile

ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ出身のエイプリルと、パリの美術学校エコール・デュペレ出身のオレリ。
二人はフランスのSONIA RYKIEL(ソニア・リキエル)で出会い、15年間共に働いていました。

二人はお互いどんな印象を持っていますか?

エイプリル

オレリとは長い付き合いで、彼女は私にとって姉妹のような存在です!
私たちはお互いのことをよく知り、尊敬し合っていますが、デザインをする上でもとても貴重な関係だと思っています。

また、それぞれにセンスを磨き、成長してきました。
私たちはお互いとても似たテイストを共有していますが、生活スタイルは全く違います。
それぞれの経験を共有することはとても興味深く、〈LA FETICHE〉のユニークな世界観にとって重要な要素だと感じています。

オレリ

エイプリルのグラフィックのセンス、カラーの遊び方は固定概念に囚われません。彼女の英国気質が生みだす創造力には、いつも感心させられます。
私たちは似たところがたくさんありますが、違った部分もたくさん。それが強みであり、コントラストや緊張感、絶妙なバランスを生み出していると思います。

仕事以外で楽しみにしていること、
楽しんでいることがあれば
教えてください。

エイプリル

スコットランドの田舎で家族と過ごすことです。
特にガーデニングが大好きで、私にとってとても喜びを感じる時間です。
ピラティスや友人との散歩、時間があれば旅行も楽しみます。家には“ミンティ“と“ロキエ“という名前のバーミーズ種の猫が2匹いて、家族皆で可愛がっています!

オレリ

旅行、友人や家族と過ごす時間、それからボクシングをするのが大好きです!

02About

パリで共に働いていた二人は、それぞれが影響を受けてきた
ブリティッシュ・エキセントリックとフレンチシックなスタイルを融合させたデザインへの魅力を感じていました。

ブランドを立ち上げたきっかけを
教えてください。

エイプリル

私たち二人は、ファッションが好きという根源的な部分で共通していますが、育った環境や体験は全く異なります。
1970年代後半から80年代をイギリスで過ごした私は、DIYファッションやストリートスタイルなど、ユニークでクリエイティブな自己表現が主流でした。
一方でオレリが育ったフランスのファッションはもっとシックで厳格で、ある種の“ブルジョワ”的なドレスコードがありました。
その両方のスタイルと伝統的な職人技術を融合させたブランドを作ったらどうか。私たちのそんなアイデアから生まれたのが〈LA FETICHE〉です。

ブランド名にはどんな想いが
込められていますか?

エイプリル

私たちがいつも愛してやまないもの、夢中になっているもの、センチメンタルでお守りのような洋服を作りたいという意味を込めています。

03Production

〈LA FETICHE〉のデザインは、
実用的でありながら個性的なワードローブを作りたいという
思いから生まれたといいます。

デザインのコンセプトを
教えてください。

エイプリル

私たちの使命は、オーセンティックな精神を共有し、情緒的に感動させるeveryday beautiful “classics”(日常の美しい“クラシック”)を作ることです。
クラシックなブルトンセーター(フランスのセーラーセーター)やメンズシャツ、ブリティッシュトレンチコート、ユーティリティパンツなど、象徴的なステータスを持つ、オーセンティックなアイテムが大好きで、それらに興味深い色や新しいディテールを組み合わせることで、より美しくより着やすい服を作っています。

オーセンティックなアイテムを
新鮮に見せる
色選びや配色、
パターンのアレンジはどのように
発想していますか?

エイプリル

カラーへの愛情はデザインの根幹にあります。
例えば、〈LA FETICHE〉カラーとも言えるNEON PINKは、このクレイジーなカラータッチがコレクション全体に興味深い緊張感を与えていると思います。
色彩が着る人に与える喜びは、ピンクと赤、青と緑、黒と白のグラフィック構造といった色の組み合わせと同様に、ブランドにとって非常に重要な要素と言えます。
コレクションでは、毎シーズンある特定の時代のファッションや、フェアアイル柄、ドット、ギンガムチェック、ストライプ等、オーセンティックな“classics”を再解釈したカラーから影響を受けています。
カラーに対するアプローチは、常に本能的かつ芸術的な視点で行っています。

またパターンに関しては、アーティストの作品や私たちの美学に欠かせないモダニズム・ムーブメントなど、様々なものからインスピレーションを受けています。

二つの拠点での
生産プロセスを教えてください。

エイプリル

私はスコットランドを拠点とし、手編みや機械編み、アクセサリー、コート、キルトなどを扱う全ての現地工場をフォローしています。

オレリ

私はフランスを拠点とする全ての工場とテーラリングスタイルのフォローを行っています。
スコットランド同様に、工場と直接話し合い、ファッション製造へのより持続可能な循環型アプローチを達成するために、様々な交渉を行います。

拠点は異なりますが、私たちはデザインや糸選び、スケッチ、仕様書の作成、フィッティングまで一緒に行っています。
毎シーズン、少なくとも隔月でパリかスコットランドのどちらかに集まっていて、お互いの強いデザインセンスを創造し、刷新することが大好きなのです。
それだけでなく、デザインプロセスを共に進めるために、私たちはほぼ毎日話し合っています。
これは、私たちのチームでクリエイティブを行うプロセスにおいて重要な部分と言えます。

伝統的な技術を持ったファクトリーで
生産する理由を教えてください。

エイプリル

特殊なノウハウを持つ工場と協力することで、質の高い製品を生産することができるからです。
忘れられがちなクラフトマンシップに光を当て、改めてその素晴らしさを称えたいというのも理由です。
私たちはパートナー工場と密にコミュニケーションを取り、モノづくりを行っています。

04Collection

手編みのケーブルセーターや英国を象徴するタータンウールを使ったジャケットなど、オーセンティックなアイテムがベースでありながら、二人の経験とユニークな感性が加わり他にはない魅力を放つ〈LA FETICHE〉のコレクション。

2024年秋冬コレクションの
テーマについて
教えてください。

エイプリル

置かれた環境や年齢に関係なく、すべての女性たちにパワーを与えることがテーマです。
カラフルでグラフィカル、強いアイデンティティを持ったユニークなワードローブを目指しました。
マスキュリンとフェミニンを往来し、シルエットはミニとマキシ、ビッグとコンパクトなど、極端なコントラストでトータル・ルックに遊びを持たせています。
また、キルトやコートのほか、シェットランドやラムズウールのセーターといった、地元の素材と生産ノウハウを生かしたアイテムも見所です。

今後の展望について教えてください。

エイプリル

ヴィンテージの古着や本、雑誌、アート、デザインなど、私たちのファッションへの愛情を余すことなく表現できるクリエイティブな店舗を持つことです。
それはとてもエキサイティングなことであり、私たちのビジョンを広げ、アイデアをより良く表現する手助けになると感じています。

RECOMMEND記事にて、展開商品の素材やディテールなど
〈LA FETICHE〉の魅力をより詳しくご紹介しています