ABOUT BRAND
―Atlantic Coastal Suppliesはどんなブランドですか?
水辺でのアクティビティに向けたギアやアパレルを展開する、実用性を重視したブランドです。私たちは「海岸沿いでの暮らし」を大切にしており、すべての製品にその精神が息づいています。「何気ない日常の楽しみを大切にすること」との考えが根底にあります。
―ブランドを立ち上げたきっかけを教えてください。
私はフロリダの海岸沿いで育ち、コーンウォールへ移住し、大西洋岸に対して異なる二つの側面から触れる経験をしました。その経験から、80~90年代にかけてのフロリダのビーチタウンが持つ楽観的な雰囲気と、コーンウォールの荒々しい自然、そしてセント・アイヴスが醸し出す時代を超越した空気感を一つに融合させたいと考えました。また、そこには私自身の人生における二つの側面を調和させたいという思いもありました。ニューヨークのマディソン・アベニューで働いた日々、メイン州やマーサズ・ヴィンヤードへの旅、さらにはロッカウェイからモントークにかけて楽しんだサーフィンといった経験です。Atlantic Coastal Suppliesは、こうした私の経験から生まれました。海と共に、そして海辺で営むクリエイティブなライフスタイルそのものを表現しています。
ABOUT St Ives
―あなたにとってセント・アイヴスはどんな場所でしょうか?
お気に入りの場所です。現代的な芸術の息吹と、太古の面影を残す風景が驚くほど見事に調和しています。海辺ならではの瑞々しさと、5000年前から変わらないものとが共存しているのです。セント・アイヴスは常に創造性を受け入れてきた場所であり、とりわけ「よそ者」による創造性を歓迎してきました。バーバラ・ヘップワース、バーナード・リーチ、そして濱田庄司といった人々がその例です。この町は外の世界に開かれており、訪れる人を誰でも温かく迎え入れてくれます。また、そこには刺激的な緊張感も漂っています。かつてこの町は、労働の町、鉱山の町、漁師町、そして芸術家たちの居場所といういくつもの顔を同時に持っていました。そうした対照的な要素が織りなす空気は、今もこの町に流れています。
―セント・アイヴスでの1日の過ごし方を教えてください。
まずは早朝にポースミアでサーフィンをするのが好きです。その後、近くのセント・エイアでコーヒーを楽しみます。それからポースミア・ヒルにある店を開け、営業中は接客や電話対応、打ち合わせなどをこなします。閉店後は、家族とパレ・プロビジョンズで合流し、アイスクリームやドリンクを楽しむこともあります。時間に余裕があれば、バーバラ・ヘプワース彫刻庭園を散策してからウェスト・ビーチへ向かい夕日を眺めたり、マンズ・ヘッド周辺で夕方のシュノーケリングを楽しんだりします。
―コーンウォールという土地は、あなたにどのような影響を与えていますか?
時代を超越した普遍性と、そこに織り交ぜられた現代性とのバランスをとることに影響を与えています。荒々しく手つかずの自然が残る場所で、この二つの要素がいかに調和するか、ということです。テート・セント・アイヴスは、太古から変わらずそこにあるビーチのすぐ向かいに位置しています。また、ロンドンやニューヨークといった主要な市場から離れていることで、異なる視点や、ある種の自由が生まれているとも感じます。そこから生まれる発想は、トレンドのサイクルに左右されない、より普遍的なものに感じられます。時には厳しい自然環境に直面することもあるため、服には実用性が不可欠です。
ABOUT CULTURE
―1960年代の海洋文化やイギリスのサーフカルチャーから、インスパイアされているとのことですが、その時代ならではの魅力や文化とは何でしょうか?
「アクティブに動き回りながらも、素敵なシャツを着こなすことができる」ように、タフさと同時に、ある種のスタイルやエレガンスが同居しています。無骨さと前向きな精神が共存しているのです。ジャック・クストーや、その時代の探検家たちに目を向けると、彼らは本当に素晴らしい服を身にまといながら、驚くべき偉業に挑んでいます。彼らにとって服は、あくまで活動の付随物に過ぎません。興味深い人生を送るための装いなのです。それこそが、私が常に立ち返る精神だと考えています。
―イギリスのサーフカルチャーは、あまり馴染みがないのですが、特色などあれば教えてください。
私自身はイギリス出身のサーファーではないので、ある種「よそ者」の視点でこの文化を見ていますが、イギリスのサーフカルチャーは、アメリカとは全くの別物のように感じられます。イギリスには「タフさ」があるのです。というのも、そもそもサーフィンをする環境として厳しい場所だからです。冷たい海に入り、上がったときに浜辺で誰かが待っていてくれるわけでもない。フロリダの暖かいビーチで、大勢の人がいる中へ戻っていくのとはわけが違います。とても孤独な行為であり、純粋に自分自身のために行うものなのです。イギリスのサーフカルチャーは、その土地の風景や、そこで直面する困難さによって形作られているのだと思います。決して楽にサーフィンができる場所ではありませんが、だからこそ生まれる真の仲間意識があります。アメリカに比べて、ここではサーフィンが長い間マイナーな存在にとどまっていました。そのため、単にカリフォルニアのスタイルを模倣しただけの文化とは一線を画す、独自の個性を感じさせます。北大西洋という環境が育んだ、独自の文化なのです。
ABOUT PRODUCT
―プロダクトづくりで大切にしていることは何ですか?
「時代に左右されない普遍性」を何よりも大切にしており、人々がいつまでも愛してくれるようなものを作りたいと考えています。私にとってそれは、1950年代の服が持っていたような感触を備えた服を意味します。20世紀半ばに作られた製品には、独特の手触りや重み、質感がありましたが、そうしたものは今ではあまり見られなくなってしまいました。時代を超えて愛されるスタイルと、あの時代を彷彿とさせる生地、より重厚で、しっかりとした手応えのある生地との融合は、服が単なる装飾ではなく、実用的な役割を果たすことが求められていた時代の精神を受け継ぐものでもあります。
―グラフィックやディテールにはどんなこだわりがありますか?
ブランドの精神を最も楽しく前向きに、そしてノスタルジックに表現しており、私が子ども時代に目にしたもの(自分が生まれる前の60年代に関する本や、海辺の町に今も残る古い看板)を彷彿とさせる雰囲気があります。つまり、ミッドセンチュリー(20世紀半ば)の楽観的な時代に生み出されたものたちです。フロリダにある古い看板の多くには、今もそうした空気が流れています。私が惹かれるのは、それらの多くが手作業で作られていたという点です。今のようにコンピューターによってすべてが完璧にできてしまう以前の、あえて不完全なままレイアウトされたデザインの、その不完全さこそが魅力なのです。多くの場合、そこにはモダンなアイデアがありながらも、それを完璧に実現する技術がなかったため、すべてが手作業で行われていました。そして、完璧さには届かない不完全さにこそ魅力が宿っていると考えています。洗練されすぎているわけでも、完璧なバランスや間隔で構成されているわけでもない「素朴さ」が魅力なのです。
―イエローとブルーのアイテムが多いですが、何かテーマや意味するものがありますか?
海辺では、視認性を高めるために昔から鮮やかな色が使われてきました。ブイやボート、市場で卸売業者を識別するための魚箱の色などがそうです。このような原色の色使いは漁業や海事の世界だけでなく、20世紀半ばの芸術作品にも数多く見られます。モダニズム・アートであれ、埠頭に積み上げられた魚箱であれ、私はそのような色使いに惹きつけられます。この土地の風景(アースカラーや茶色、青や緑)と、そこに混ざり合う鮮烈な原色との相互作用には、何か特別な魅力があり、それが芸術作品であってもボートやブイであっても、私はその色の組み合わせに強く惹かれます。
ABOUT FUTURE
―今後の展望について教えてください。
海とのつながりを感じる男性のために、素晴らしくモダンなワードローブを築きたいと考えています。目指しているのは、流行に左右されず、季節に合わせて素材の厚みを変えながらも、人々が長く愛用できる定番のアイテムです。海辺から結婚式、そしてその後の気取らないバーでの一杯まで、あらゆるシーンに対応できる服です。過酷な環境にも耐えうるタフさを備えつつ、1960年代の精神を反映したカジュアルなエレガンスも兼ね備えているスーツや上質なシャツ、あるいは質の良いセーターを身にまとい、それを着て日々の生活を謳歌するようなスタイルです。私たちは現在、日本でのものづくりに力を入れており、神戸近郊の工場や旧知の仲間たち、さらにはポルトガル、スコットランド、そしてここコーンウォールのパートナーたちと連携しています。時間をかけてサプライヤーとの関係を丁寧に築き、ACSを楽しく魅力的なブランドでありながら、同時に確かな中身のある存在にしていきたいです。また、現実世界での活動もさらに広げていきたいです。例えば、手持ちのボードで気軽に参加できるサーフィン大会「Run What You Brung」のようなイベントや、将来的にはフリーダイビングの講座、釣り大会などを企画するのもいいかもしれません。何より、セント・アイヴスの精神を共有できるクリエイターたち(過去を尊重しつつ未来を見据える陶芸家や画家、アーティスト)とのパートナーシップを大切にしていきたいと思っています。