Oblada染谷真太郎の視点でとらえた
Oblada × Bshopのスタイリング

Styling by Oblada × Bshop
as seen through the lens of Shintaro Someya

INTERVIEW

染谷真太郎/ SHINTARO SOMEYA

“Post Heritage - 未来のヴィンテージを作る”をコンセプトに掲げる〈Oblada〉。
ヴィンテージデニムなど過去の遺産をデザインソースに、現代の生活にフィットするフォルムやディテールへとアップデート。ジーンズのようなベーシックなアイテムほど今に馴染むように進化させ、デザイン・素材・縫製すべてを日本製にこだわったものづくりを続けています。今回は、ブランドを率いる染谷氏に、ビショップのベーシックアイテムと合わせたスタイリングを組んでいただき、ベーシックに込める想いや妥協なき姿勢について語っていただきました。

デザインで大切にしていることは何ですか?

洋服そのものが主役になるのではなく、着る人をよりかっこよく、素敵に見せることを大切にしています。ファッション感度の高い人だけに向けるのではなく、日々の生活の中でおしゃれを楽しみたい人に寄り添う洋服を〈Oblada〉はつくっています。奇をてらわないオーセンティックなスタイリングでありながら、着る人が心から満足できる洋服であることを目指しています。

“生活の一部としておしゃれを楽しむ”という考え方は、ビショップのコンセプトとも通じる部分がありますね。

そうですね。ベーシックアイテムを大切にしている点は共通していると思います。

僕自身も「ルーツを理解したうえで新しいものをつくりたい」という想いが根底にあります。たとえばリーバイスの501やリーの101といったオリジナルのアイテムには強いリスペクトを持っています。ただ、だからといってレプリカをやりたいわけではなく、そうしたヘリテージを現代的にアップデートしていきたいんです。

また、ベーシックアイテムにも“今の空気感に合う旬”があると思っていて、それを見極めて選び取ることも大事にしています。たとえば、レギュラーカラーのシャツかボタンダウンのシャツか。どちらも定番ではありますが、「今どちらを選んだら可愛いか」を提示していける存在でありたいと思っています。

ベーシックアイテムの“旬”について、今シーズンはどんなアイテムがコレクションに反映されていますか?

2025年秋冬のテーマは“NEW BRITISH LOOK”です。イギリスでは紳士がスーツの上からキルティングコートを羽織ることがありますが、〈Oblada〉ではそれを花柄のキルティングで表現しました。襟には別珍生地をあしらい、細部にブリティッシュらしさや、メンズアイテムに見られるルーツのあるディテールを取り入れています。

また、イギリスといえばグレンチェックやチョークストライプといった柄も魅力的です。そうした伝統的な英国調の素材を用いて、デニムスタイルに落とし込む提案もしています。

ベーシックアイテムをどのように解釈して、〈Oblada〉らしくアレンジしていますか?

ベーシックなアイテムほど、新鮮さを出すにはサイズ感やシルエットが重要だと考えています。そこをアップデートすることで、フレッシュなスタイリングを楽しんでもらえると思います。

たとえばデニムであれば、股上の深さやウエストの位置が大きなポイントです。ハイライズ、ミッドライズ、ローライズ——時代によって流行は大きく変化してきました。ここ10年以上はハイウエストが主流でしたが、2000年代初頭には股上の浅いローライズがトレンドでしたよね。だからこそ、「今どのウエスト位置で履くのか」を見極めることが、時代に合ったベーシックの提案につながると考えています。

今シーズン、ビショップでも取り扱いのあるミレニアムジーンズは分かりやすいアイテムだと思いました。

そうですね。股上はしっかり確保しつつ、ウエスト寸法を広めにとることで、自然と履く位置が下がるようにしています。これまでよりも“ハイすぎない”ウエストポイントで履けるので、新鮮なムードが出せる一本になっています。

とはいえ浅すぎる股上ではないので、これまでハイウエストに慣れていた人でも違和感なく取り入れやすいはずです。ローライズがトレンドなのは理解しつつも、いきなり振り切るのではなく、緩やかにシフトしていきたい。シームレスに繋ぐ存在としてデザインしたのが、このミレニアムジーンズです。

染谷さんの考えるベーシックアイテムの魅力とは?

「スタイルがある人」って、本当におしゃれですよね。ベーシックアイテムを軸に、自分だけのスタイルを確立できる人は最高にかっこいいと思います。たとえば、オーシバルのボーダーカットソーにリーバイス501。毎日同じような服を着ているのに、ちゃんと自分のスタイルを持っている人は、ベーシックアイテムの魅力を自分のものにしているんだと思います。

装飾を削ぎ落としたシンプルなスタイルだからこそ、その人自身の内面や生き方が映し出される。そこにこそ、ベーシックアイテムの魅力があると感じています。

今回は、ビショップの“ベーシック”とされるアイテムと〈Oblada〉のアイテムを掛け合わせてスタイリングを組んでいただきました。ポイントを教えてください。

どれもリアルクローズですが、着ることが楽しくなるように色使いで遊びを加えています。また、メンズライクなシャツやカジュアルなスウェットに、パールやカチューシャ、シュシュといった女性らしい上品なアクセサリーを組み合わせました。小物でコントラストをつけることで、スタイリングがぐっと可愛くなると思います。

PROFILE

CINCH CREATIVE DIRECTOR / DESIGNER染谷真太郎

ロンドン留学帰国後、2001年20歳のときに株式会社シンゾーンを設立。
「デニムに合う上品なカジュアル」をコンセプトに掲げるセレクトショップ『Shinzone』のファウンダーとして常にアップデートするベーシックスタイルを貫き、男性独自の鋭い視点で現代のレディースファッションを牽引。2021年、株式会社CINCHを設立。
「自分たちが信じる“確かなこと”だけをお届けする」ことをベースに、 ブランド戦略やトータルプロデューサーとして、コンセプト構築からコンサルティングなど幅広い分野で活動。