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OLD TOWN:Stanley

2019.2.21  THURSDAY

一生もの、十年選手、永遠の定番、そういった言葉は資本主義が作り出したコマーシャルに思えてならない。
そのようなものは確かに存在するが、言葉にしてしまった瞬間、たとえ本当にそういう価値があったとしても、陳腐なものに成りかわってしまうだろう。
事実、我々消費者はそういった類の言葉に弱い。それは誰しもが、まるで第二の皮膚のごとく身体と融合した服が、もっともかっこいいスタイルを作り出すと言うことを暗黙のうちに理解しているからに他ならない。

だからこそ、販売する側である私たちは安易にそのような言葉を口にしてはならないはずだ。
いつの間にかずっと手元にあったという事実だけに価値がある。
私たちはただ、目の前にあるもののポテンシャルを余すことなく伝え、あたかも最初から自らの暮らしにあったかのようにイメージさせることだ。

普遍的なものに求められる条件を重要度で並べるのであれば、最初の方にくるのはなんだろう。
一つは服としてのタフネスさであり、もう一つは市場にあり続けることだと思う。
前者は意外と簡単だが、後者はなかなか難しい。市場に同じ形であり続けるということは、いつの時代にも寄り添い、人々の暮らしをひっそり、でも確かと支え続けることを意味する。

画像2

ロンドンから電車を何回も乗り継ぎ、4時間ほど揺られ続けるとNorfolk州のHoltと言う町にたどり着く。
この田園風景広がるイギリス北東部の小さな町に、OLD TOWN のアトリエ兼工房がある。
OLD TOWNは半世紀近くにわたり、全く変わらないスタイルをたった一人の職人によってその歴史を紡いできた。
基本的にストックは持たず、オーダーを受けた後に一着一着その都度作るスタンスを貫いている。スーツのオーダーメイドとは違うが、自分のために作られると思うとそれだけで心が躍る。
そのシステムのため1週間で70着分しか生産できず、工房の所在と同じように、OLD TOWNというブランドに流れる時間は穏やかだ。

画像1-B案

Stanley ¥58,000 +tax

前回の記事でふれたように、クラシカルなものが螺旋階段を上り続けているとすれば、OLD TOWNのアイテムはその終着点に限りなく近いと言える。それほどにプロダクトが円熟している。
OLD TOWNの代名詞と言ってもいいジャケットがこのStanleyとういモデルだ。
正直ぱっと画像だけを見たとき、ただの普遍的なジャケットのようにしか見えない。
しかし細部を見てもらうと、自然に前に振られたアームだったり、少し丸みを帯びたラペルラインであったり、袖口の湾曲であったり、随所に作り手のこだわりが詰め込まれている。
VINTAGEのワークジャケットと似たようなつくりだが、野暮ったさを残しつつも洗練されている。クラシカルでありながら、現代的でもある。アンビバレントな要素を見事に一つのプロダクトの中で共存させている。
そういったプロダクトだからこそ、時間という荒波に揉まれても物ともしないのだ。そぎ落とされたミニマルなディテールもOLD TOWNが掲げる「Plain Style」「Made Simple」を体現している。

 

よくある小芝居で、高級レストランで食事をしたあと、あまりのおいしさに「シェフを呼んでくれ」と、作り手に会いたくなる表現があるが、このジャケットはまさにその洋服版と言っていいだろう。
いつの日か、少しクタッとなったジャケットを着て、ロンドンの片田舎でオーナーのウィリアムに「あなたの作ったジャケットを愛用させてもらっているよ」と言いたくなる、そんな一枚だ。

 

※取り扱い店:LABOUR AND WAIT TOKYO