Bshop

Bshop

BLOG

ARCHIVES

成熟するオーセンティック

2019.2.8  FRIDAY

オーセンティックなものに魅せられる理由はなんだろう?
ずっとこの疑問の解答を探しているとある仮説にたどり着く。

それはファッションと言う概念が存在しないアイテムだからこそ惹かれるのではないかというもの。
しかしその魅力に気づくためにはファッションという概念を持ち合わせていなければならない。
さらに言えば、ファッション性を持たない人間が、そのアイテムを身に着け、それがその人の生活に溶け込んでいるからこそ魅力的なのだ。
緻密に計算されたかっこ良さより、期せずして自然発生するかっこ良さのほうが、時に人により大きな衝撃を与えうるということだ。

オーセンティックなものは何かに突出していることが多いような気がする。何かに特化すると言うことは他の何かを切り捨てるということでもある。
その犠牲の上に成り立っているものはそれだけ異彩を放つのだ。今ある現実からどれだけかけ離れていようが、実用的でなかろうが、その異質さはそのものの存在感を際立たせ、ひいてはこの上なく人を魅了してしまうのである。

近代はそういった特化型のものが多く生み出された時代な気がする。
いまの洋服のほとんどが近代戦争時に作られた軍服か、肉体労働者の制服からソースを得ているのは間違いないはずだ。

毎年世界各地でデザイナーによって彩られたファッショナブルなショーは煌びやかで「今」という時代性を反映し、我々の心をわしづかみにする。
対して時代に関係なく当時の姿のままそこに存在するだけで、纏う雰囲気が回りの空間をゆがめるほどの貫禄を持つものもある。
ただ、オリジナルと言えど、まったくの変化なしに現代まで残ることは極めて難しいことだ。
定番と言われているものたちは平面上はまったく変化していないように見えて、立体的に見たとき、終わりなき成熟の螺旋階段を駆けあがっているのである。

 

セーラーパンツ2

 

突出したものといえば、ミリタリーウエアが最もわかりやすいだろう。なにせ人の生命を左右しうる要所だ。
しかし海軍の制服はほとんどの時間を陸上で過ごす私たちにとって馴染みがないと感じるのは明らかだ。
もちろんそのもの作りのタフネスさはいつの時代も生活に寄り添ってきた。だが、セーラーパンツのデザインは数あるボトムスの中でも一風変わっていると言わざるを得ない。
明言こそしないが、その非日常的な部分にこそ、そそられているという事実もまた明らかなのだ。

海軍の制服とは当たり前だが、海の上でのあらゆることを想定した作りになっている。
セーラーパンツのシンボルと言えば2列になっている前当てだろう。諸説あるが、これは海に落ちた際に水中でも脱ぎやすくするためと単純に用を足しやすくするためというのが個人的に一番しっくり来ている。
この前立てのほか、腿から裾に掛けての太いシルエットも水中での脱衣を想定していると言われると納得できそうだ。
ORCIVALのセーラーパンツは40年代のフランス軍のセーラーパンツをベースにその良さをより引き立てている。
世に出回っているセーラーパンツの多くはフランネルウールもしくはリネンシャンブレの生地だ。だからこそ季節に関係なく通年はける生地のものがほしいと思ってしまう。
”かつらぎ” というコットン100%の生地は、縦糸に強いよりをかけることで生地にハリとコシを与えると同時に、デニムと同じような強靭なものに仕上げている。
履いては洗いざらすことで、育てられてた生地感は手に入れる前から想像するだけでワクワクするものだ。

 

セーラーパンツ3

 

よく見てもらうとパンツのアウトシームがないことに気がつく。これはパンツのシルエットがより立体的でシルエットが硬い生地でもきれいに落ち感が出るようになる。
アメリカンビンテージが好きな方なら、ピーンとくるかもしれないが、US NAVYのビンテージデニムもアウトシームがないのだ。こういった玄人心をくすぐるところがニクイ。
セーラーパンツのシルエットと言えば、軍放出品のセーラーパンツのオリジナルを履いたことがある人はわかると思うが、胴回りのつくりがピタッとしていて、腰に対してタイトに出来ている。
先ほどアウトシームをなくしているといったが、実はおしりの位置までは残している。これがダーツの役割を果たし、ゆとりを生むと同時に、パンツのラインもすっきり見せてくれる。
生産も国内有数のデニム工場に依頼しているというこだわりっぷりだ。フランス海軍の制服を作っていたブランドがセーラーパンツを作るのだから気合の入り方が違うのだ。

 

セーラーパンツ1

ORCIVAL sailor pants ¥14,800 +TAX

 

合わせるアイテムに迷ったら間違いなくボーダーのカットソーがベストだろう。
ただ、私は天邪鬼なので、同じあわせでもサイズで遊びたくなってしまうのだ。
ORCIVALの定番のボーダーカットソーは今シーズンからサイズ展開を 0~8 まで広げているのだから、とことん大きく着てみてはいかがだろうか。
それにパンツもベルトループがついているから、マイサイズより1サイズアップして、腰をベルトでキュッとしぼって、だぼっと履いたって間違いなくさまになる。
半世紀以上前のものと同じ生地、同じ形なのに、サイズを変えるだけで新鮮さは生まれ、今の時代性に沿った着こなしになる。
これぞファッションの醍醐味ではないだろうか。